入れ歯を使用する際、多くの方が使用するのが安定剤です。
また安定剤と聞くと、クリームを入れ歯に塗布して吸着させるタイプを想像する方も多いでしょう。
しかし、実際はさまざまなタイプがあり、その一つがシートタイプです。
今回は、シートタイプの入れ歯安定剤におけるメリット・デメリットを解説します。
シートタイプの入れ歯安定剤の概要
シートタイプの入れ歯安定剤は、入れ歯と歯茎の隙間を埋めて密着させる、シート型(フィルム型)の安定剤です。
入れ歯と歯茎の間にシートを挟み、唾液によって粘着力を発揮します。
商品によっては、あらかじめ入れ歯の形にカットされたものや、自分で形を整えられるものもあります。
またシートタイプの入れ歯安定剤は総入れ歯だけでなく、部分入れ歯に対応している商品も存在します。
シートタイプの入れ歯安定剤のメリット
シートタイプの入れ歯安定剤には、主に以下のようなメリットがあります。
・薄くて均一な密着性
・クッション効果
・唾液に溶けにくい
・はみ出しにくい
・洗浄が比較的簡単
各メリットについて詳しく説明します。
薄くて均一な密着性
シートタイプの入れ歯安定剤は薄いため、入れ歯と歯茎の間に均一に広がりやすいです。
これにより、入れ歯の安定感をより高めることができ、食事や会話などの不安も解消できます。
クッション効果
シートはやわらかい素材でできているため、入れ歯に貼ることで歯茎への負担をやわらげ、痛みを軽減する効果が期待できます。
特に、入れ歯を調整するまでの応急処置として使用するのに適しています。
唾液に溶けにくい
シートタイプの入れ歯安定剤の多くは、水分を吸って入れ歯と歯茎を密着させます。
そのため、食事中の水分や唾液で溶け出しにくく、口内に安定剤特有の味が広がってしまう状況を防ぎやすいです。
はみ出しにくい
一般的なクリームタイプの入れ歯安定剤は、塗布する量を間違えると入れ歯と歯茎の間からはみ出してしまうことがあります。
一方、シートタイプは大きさがある程度決まっていますし、クリーム状ではないため、はみ出してくる心配はありません。
洗浄が比較的簡単
シートタイプの入れ歯安定剤は、入れ歯から剥がして捨てるだけでOKです。
そのため、粘着剤が入れ歯や口内に残りにくく、洗浄が比較的簡単に行えます。
シートタイプの入れ歯安定剤のデメリット
シートタイプの入れ歯安定剤には、前述したようなメリットがある反面、以下のようなデメリットも持っています。
・調整にやや手間がかかる
・慣れやコツが必要
・接着力は弱め
・長期的な使用には向いていない
各デメリットについて詳しく説明します。
調整にやや手間がかかる
シートタイプの入れ歯安定剤は、調整にやや手間がかかります。
例えば商品によっては入れ歯の形状に合わせてハサミでカットしたり、湿らせて馴染ませたりしなければいけません。
そのため、使用を面倒と感じることもあります。
慣れやコツが必要
シートタイプの入れ歯安定剤は、入れ歯の接着面にピッタリと貼らなければいけません。
しかし、使い始めの頃はこちらの作業が少し難しく、キレイにシワなく装着するには慣れが必要なケースがあります。
接着力は弱め
シートタイプの入れ歯安定剤は、十分入れ歯を安定させることができますが、他のタイプと比べると若干接着力は弱めになっています。
そのため、入れ歯が大きく緩んでいる場合などには不向きなことがあります。
長期的な使用には向いていない
こちらは入れ歯安定剤全体に言えることですが、シートタイプの入れ歯安定剤は長期的な使用には向いていません。
入れ歯安定剤は、あくまで歯茎と入れ歯の間に隙間ができているのを一時的に埋めるためのものです。
もし合わない入れ歯を放置し、安定剤ばかりに頼ってしまったら、噛み合わせが悪化するおそれがあります。
シートタイプの入れ歯安定剤を選ぶ際のポイント
シートタイプの入れ歯安定剤を選ぶ際は、まず用途をチェックします。
具体的には総入れ歯用なのか、部分入れ歯用なのかという点です。
総入れ歯用については、上顎、下顎それぞれの専用タイプがあります。
またよりクッション性が高いものを選んだり、食事への影響が少ないものを選んだりするのもポイントです。
ここでいう食事への影響が少ないものとは、無香料のものや透明で目立たないものを指しています。
ちなみに、シートタイプの入れ歯安定剤は商品によって持続時間にも差があります。
1日交換タイプや、2～3日連続使用できるタイプなどがあるため、ライフスタイルに合わせて選びましょう。
まとめ
入れ歯安定剤はどのタイプも非常に便利であり、中にはシートタイプがもっとも合っている方もいます。
しかし、シートタイプに限らず、入れ歯安定剤は一時的に使用するものと考えておかなければいけません。
安定剤を使用する方が楽だからといって、入れ歯の違和感に向き合わないでいると、最終的には一から入れ歯をつくり直さなければいけなくなります。
