入れ歯を使用する方は、基本的に装着しているか、洗面所などで洗浄・保管していることが多いです。
しかし、場合によっては入れ歯を取り外した状態で持ち歩くこともあります。
また入れ歯を持ち歩く場合、トラブルにつながらないように細心の注意を払わなければいけません。
今回は持ち運びの際の注意点を中心に解説します。
入れ歯を持ち歩くケース
冒頭でも触れたように、日中入れ歯は基本的に口内に装着していることがほとんどです。
しかし、歯科クリニックで調整を行う場合などは、一時的に持ち歩くことがあります。
特に患者さんの口内にフィットしない入れ歯の場合、ずっと装着したままだと口内炎などの口内トラブルにつながります。
そのため、取り外した状態で歯科クリニックまで持ち運ぶのが一般的です。
入れ歯を持ち歩く際の主な注意点4選
入れ歯を外した状態で持ち歩く場合、以下の点には注意が必要です。
・乾燥対策をする
・衝撃対策をする
・衛生管理を徹底する
・温度変化対策をする
各項目について詳しく説明します。
乾燥対策をする
入れ歯を外で持ち歩く場合、必ず行わなければいけないのが乾燥対策です。
一般的な保険適用の入れ歯は、アクリルレジンと呼ばれるプラスチックでつくられていることが多いです。
こちらは乾燥すると変形したり、変色したりするおそれがあります。
変形した入れ歯は患者さんの口内に合わなくなるため、食事の際などには不便さを感じるようになります。
また入れ歯が変色してしまうと、外から歯列を見られたときの印象が悪くなってしまいます。
これらのデメリットを防ぐためには、入れ歯を乾燥させないよう水で満たした専用のケースに入れて持ち歩きましょう。
衝撃対策をする
入れ歯を持ち歩く際は、衝撃があったときに備えた対策をすることも大切です。
入れ歯はオーダーメイドでつくられるものであり、精度は非常に高いです。
しかしデリケートなものであるため、強い衝撃を受けると破損してしまうおそれがあります。
自宅でいえば、洗面所のシンクに誤って落ちしてしまっただけでも、変形したり一部が破損してしまったりすることもあるくらいです。
このような理由から、洗面所で洗う際はシンクに水を張った洗面器を用意するのが一般的です。
そのため、バッグの中に入れて持ち歩く場合、専用のケースに入れて他のものと接触しないように注意すべきです。
また入れ歯が入ったバッグを落としてしまわないように、持ち歩くときはリュックなど落とす可能性が低いバッグを使用すべきです。
ちなみに専用のケースに入れていたとしても、そのまま上着やズボンのポケットに入れるのはおすすめできません。
ポケットの場合、何かの拍子で落としてしまい、破損するリスクが高まります。
たとえ自宅のすぐ近くにある歯科クリニックに通う場合でも、必ずカバンに入れて持ち歩きましょう。
衛生管理を徹底する
入れ歯を持ち歩く際は、衛生管理の徹底も意識すべきです。
入れ歯は口内に装着するものであるため、常に清潔な状態にしておかなければいけません。
そのため、持ち歩いた後すぐに装着する機会がある場合は、汚れや細菌が付着しないようにする必要があります。
また入れ歯の衛生管理を行う場合、入れ歯そのものを洗浄するだけでは不十分です。
普段入れ歯を入れて持ち歩くケースについても、定期的に洗浄すべきです。
どれだけ入れ歯をキレイにしていても、それを持ち歩くケースが不衛生だと意味がありません。
ちなみに、持ち歩いた後装着するときに汚れに気付いた場合、入れ歯用のウェットシートなどがあれば便利です。
ウェットシートさえあれば、水が使えないところでもある程度入れ歯の衛生状態を保つことができます。
温度変化対策をする
入れ歯は温度変化にも弱いため、持ち歩くときにはその対策も取るべきです。
特にプラスチック製の入れ歯は、急に温度が高くなったり低くなったりすると、変形や割れなどのトラブルが起こりやすくなります。
そのため、真夏もしくは真冬に持ち歩く場合は注意が必要です。
真夏や真冬は、エアコンが効いている部屋から急に暑いもしくは寒い外に出ることになります。
このときの温度変化は非常に大きく、対策を取っていなければ入れ歯の適合性が落ちてしまう可能性が高いです。
そのため、夏場は室内の温度に合わせ、カバンに入れ歯と保冷剤や冷えたタオルなどをあわせて入れることが望ましいです。
冬場に関しては、入れ歯に触れない場所にカイロなどを入れることで、屋外でも急激な温度変化の影響を受けにくくなります。
さらに再び室内に入った後は、直射日光や暖房・冷房器具など、温度変化が激しい場所での保管は避けましょう。
まとめ
入れ歯は歯を失った方の生活において、なくてはならないものです。
入れ歯がなければ満足に食事は摂れないですし、会話のとき鮮明に発音することも難しくなります。
そのため、変形や破損などが起こらないように大事に取り扱いましょう。
特に、入れ歯を持ち歩くときはそのリスクが高くなるため、さまざまな対策を取らなければいけません。