入れ歯を装着することにより、以前よりも食事がしやすくなったり、発音がスムーズになったりします。
しかし、入れ歯を装着することにより、口内に違和感が出てしまうケースも少なくありません。
今回はこちらの違和感における原因やデメリット、対処法などについて解説します。
入れ歯の違和感の原因
入れ歯の違和感の主な原因は以下の通りです。
・入れ歯のサイズや設計の問題
・入れ歯のフィット感
・慣れの問題
・材料の問題
各項目について詳しく説明します。
入れ歯のサイズや設計の問題
入れ歯のサイズや設計に問題があると、入れ歯の一部が口内の敏感な部分に当たってしまい、圧迫感を生じさせることがあります。
例えば入れ歯の縁が長いと、歯茎や粘膜に強く当たり、圧迫感や痛みにつながります。
ちなみに部分入れ歯の場合、リンガルバーと呼ばれる金具が舌に当たり、不快感を覚えることも考えられます。
入れ歯のフィット感
入れ歯がゆるかったり、動いたりすることでも違和感につながります。
こちらは先ほどと同じように、入れ歯のサイズや設計に問題がある場合と、患者さんの顎の状態が関係している場合があります。
顎の骨が痩せている場合、入れ歯が安定せず、痛みや違和感が生じやすくなります。
慣れの問題
入れ歯の違和感は、単純に装着することに慣れていないために生じることもあります。
新しい入れ歯が入った直後は、当然これまでと口内の感覚が違うため、違和感を覚えやすいです。
特に長い間歯を失った状態だった方が初めて入れ歯を装着する場合、その違和感は大きくなるでしょう。
材料の問題
入れ歯に使用する材料によって、違和感が出やすくなることがあります。
保険診療の入れ歯では、歯科用のプラスチックを使用することが多いですが、こちらは厚みが出やすいです。
そのため、口内のスペースが狭く感じたり、味を感じにくくなったりすることがあります。
またプラスチック製の入れ歯は、温度の伝導性が低いです。
こちらは食事の熱さや冷たさを感じにくくすることにつながります。
入れ歯の違和感が継続することのデメリット
装着したばかりの頃の違和感は、基本的には日が経つにつれて徐々に薄くなっていきます。
しかしサイズや設計などに問題があると、なかなか違和感は解消されません。
このような状態が続くと、口内炎や歯茎の炎症を引き起こします。
具体的には入れ歯と歯茎の間に隙間ができたり、不均等に力がかかったりすることで粘膜が擦れ、そこから義歯性口内炎を発症することがあります。
また合わない入れ歯を使い続けると、噛み合わせが狂って身体の歪みや頭痛、肩こりなどを引き起こすことも考えられます。
さらに部分入れ歯が破損した場合などは、誤って飲み込むリスクが高まります。
こちらは入れ歯に付着した細菌が肺に感染し、肺炎を引き起こす原因にもなります。
入れ歯の違和感における対処法
入れ歯の違和感を解消する方法としては、自宅でできることと歯科クリニックでできることの大きく2つに分けられます。
それぞれどのような方法があるのか説明します。
自宅でできる対処法
入れ歯の違和感がなかなか消えない場合は、まず入れ歯洗浄剤に浸け置きするなどして、徹底的に入れ歯をキレイにしましょう。
汚れが蓄積されていることにより、違和感が強くなっている場合は、この方法である程度解消できます。
またクッションタイプの入れ歯安定剤を使用すれば、入れ歯と歯茎の間にクッション層ができ、痛みや不安定さが軽減されることもあります。
ただし、こちらは一時的な解決策であり、根本的な対処法ではありません。
ちなみに、入れ歯安定剤を継続的に使用することもおすすめできません。
入れ歯安定剤は、確かに入れ歯の違和感の解消に効果的ですが、裏を返せば依存してしまうものでもあります。
あくまで歯科クリニックで調整などを行うまでの間の応急処置として、安定剤を使用するのが理想的です。
歯科クリニックでできる対処法
歯科クリニックでは、入れ歯の調整を行うことができます。
具体的には入れ歯の当たりを削ったり、噛み合わせを調整したりして、フィット感を向上させることが可能です。
また入れ歯の裏側に新しい材料を足す裏打ちという方法を採用することで、歯茎との隙間を埋め、フィット感を改善できるケースもあります。
ちなみに部分入れ歯の場合、クラスプの位置や角度を調整することで、安定感を増す可能性が高いです。
これらの調整については、一切入れ歯の違和感がない場合でも、メンテナンスの一環として半年に1回程度は受けるべきです。
まとめ
初めて入れ歯を装着する方は、入れ歯の違和感が出たとき、問題があるのかないのかを判断しづらいかと思います。
装着して数日程度の違和感は特に問題ありませんが、長期にわたって明らかな違和感を覚える場合、それは問題が生じていると言えます。
そのため、我慢せずに歯科クリニックに相談してください。
調整程度であれば、そこまで高額な費用がかかる心配も基本的にはありません。