入れ歯を装着する方は、歯を失ったことによる機能回復を目的としています。
しかし、入れ歯の装着に違和感がある場合、つい食事のときに外してしまうことがあります。
特に部分入れ歯の方はこのようなケースが見られますが、食事のときに入れ歯を外すとさまざまなデメリットが生まれます。
今回はこちらの内容を解説します。
食事の際に入れ歯を外すデメリット8選
たとえ入れ歯の装着に慣れていなかったとしても、最初のうちは我慢して装着し続けなければいけません。
もし食事のときに外してしまったら、以下のようなデメリットにつながります。
・咀嚼が困難になる
・食べ物を飲み込みにくくなる
・味覚や温度を感じにくい
・歯茎が痛い
・顎の骨が痩せる
・口腔環境の変化
・残存歯に負担がかかる
・入れ歯が劣化する
各デメリットについて詳しく説明します。
咀嚼が困難になる
食事の際に入れ歯を外してしまうと、当然のことですが咀嚼は困難になります。
特に入れ歯の本数が多かったり、総入れ歯だったりする方はほとんどの食材を噛むことができません。
また硬いものはもちろん噛めなくなるため、食べられるものは制限されます。
その結果、食事の満足度も低下し、食べるのが好きな方にはかなりの苦痛を伴います。
食べ物を飲み込みにくくなる
食事のときに入れ歯を外すデメリットとしては、食べ物を飲み込みにくくなることも挙げられます。
入れ歯がないと、食べ物を噛めないだけでなく、食べ物が口の中でまとまりにくくなります。
そのため、サイズが大きい状態や塊のまま飲み込んでしまい、誤って気管に入り込む誤嚥のリスクが高まります。
また誤嚥を起こしたとき、口内の虫歯菌や歯周病菌が肺に到達してしまうと、誤嚥性肺炎という疾患につながります。
こちらは高齢の方の死因の上位にランクインしているため、発症すると非常に危険です。
味覚や温度を感じにくい
入れ歯を外した状態で食事を摂る場合、仮にやわらかいものを噛めたとしても、味覚や温度は感じにくくなります。
入れ歯は歯の代わりとなるだけでなく、熱い・冷たいといった温度や味を感じるためにも必要なものです。
特に金属床の入れ歯は熱伝導率に優れているため、食事の美味しさの向上につながります。
こちらを外した状態で食事を摂ると、本来美味しいものであってもあまり美味しく感じないことがあります。
歯茎が痛い
入れ歯に慣れていないからといって、食事の際に外してしまうと、歯茎へのダメージが強くなることも考えられます。
歯がある場合、食事をしたときに直接負担がかかるのは歯です。
一方、歯がない部分は歯茎が剥き出しの状態であり、こちらに食べ物が触れたときの負担は思いの外大きいです。
また歯茎へのダメージが多くなった結果、痛みが生じたり、傷や出血の原因になったりする可能性があります。
顎の骨が痩せる
顎の骨が瘦せることも、入れ歯を外した状態で食事を摂ることのデメリットです。
入れ歯を装着した状態で食事を摂る場合、顎の骨にある程度刺激が加わります。
一方、入れ歯を外すとこちらの刺激がなくなり、骨が徐々に痩せていきます。
また入れ歯を外しがちになる理由として、入れ歯が合っていないことが挙げられますが、顎の骨が痩せるとさらに入れ歯のフィット感は失われます。
口腔環境の変化
先程のケースと似ていますが、食事のたびに入れ歯をわざわざ外していると、その間に口腔環境が変化することがあります。
歯というものは、隣り合う歯がない場合その部分に少しずつ寄っていく傾向があります。
そのため、あまりにも入れ歯を外している時間が長いと、少しずつ歯並びや噛み合わせは悪化します。
このような状況が続くと、元々使っていた入れ歯は合わなくなり、最終的には一切はまらなくなることもあります。
残存歯に負担がかかる
食事のときに入れ歯を外すデメリットとしては、残存する天然歯への負担が大きくなります。
こちらは、特定の歯にだけ過度な負担がかかることにつながります。
また過度な負担がかかった天然歯は、ぐらついたり抜けたりするリスクが高まります。
もちろん、脱落した天然歯には入れ歯などを適用しなければいけない可能性があります。
入れ歯が劣化する
入れ歯は患者さんの口内にフィットするようにつくられていますが、食事のたびに何度も何度も外してしまうと、入れ歯自体が劣化してしまうおそれがあります。
具体的には、入れ歯の衛生状態が悪くなり、装着しにくくなったり使用感が悪くなったりすることが考えられます。
またこのような状態になった入れ歯は、さらに装着する機会が減少する可能性が高いため、注意が必要です。
まとめ
たとえ入れ歯を付け始めたときに違和感があっても、時間が経過すれば少しずつ慣れてきます。
そのため、食事のときは必ず入れ歯を装着しましょう。
逆に、就寝時などは入れ歯を外し、口内を休める時間を確保することが望ましいです。
もちろん、外しているときは入れ歯を丁寧に洗い、就寝時間を活用して専用の洗浄剤で浸け置き洗いをすることも忘れてはいけません。