根管治療は、重度にまで進行した虫歯に適用される治療であり、歯の奥深くにある汚れや細菌を取り除くことで虫歯を完治させるものです。
また歯科クリニックでは、保険診療の根管治療と自由診療の根管治療を取り扱っていることもあります。
今回は、保険診療と自由診療とでどういった違いがあるのかについて解説します。
根管治療の保険診療と自由診療の違い6選
保険が適用される根管治療、適用されない根管治療には、主に以下のような違いがあります。
・治療の成功率
・費用
・使用機材
・使用材料
・感染防止策
・治療時間、回数
各項目について詳しく説明します。
治療の成功率
保険診療の根管治療、自由診療の根管治療の違いとしては、まず成功率が挙げられます。
根管治療は、ハッキリ言うと成功率が低いです。
具体的には、30~60%程度です。
根管内はとても複雑な形状をしているため、実績のある歯科医師であっても、失敗してしまう可能性は十分にあります。
またここでいう失敗とは、再治療をしなければいけなくなる状態を指しています。
つまり失敗し続ける限り、何度も根管治療を受けなければいけないということです。
一方、自由診療の根管治療の成功率は、90%以上と非常に高水準です。
再発のリスクが低いため、何度も歯科クリニックに通わなくて済む可能性が高いです。
ちなみに根管治療に失敗した場合は、基本的に再治療を行いますが、通常の再治療では完治しないことがあります。
このようなケースでは、外科的歯内療法というものが適用されることが考えられます。
外科的歯内療法は、歯根端切除術とも呼ばれるもので、根管の先端に病巣がある場合に、歯茎を切開して病巣を取り除く治療です。
もし何度も再治療をしても改善しないのであれば、抜歯が選択されることもあります。
費用
根管治療の保険診療と自由診療とでは、発生する費用も異なります。
保険診療は保険が適用されるため、患者さんは原則治療費の3割を負担するだけで済みます。
具体的な金額は前歯で数千円程度、奥歯で数千円~1万円程度である可能性が高いです。
一方、自由診療は保険が適用されないため、当然費用が高額になります。
1本あたり7~20万円かかるケースが多いため、経済的に余裕がない方は、支払いが困難になるおそれがあります。
使用機材
使用する機材についても、保険診療の根管治療と自由診療の根管治療には違いがあります。
保険診療の場合、保険診療内のルールにしたがって治療をしなければいけません。
そのため、根管治療で使用できる機材や器具の規格、回数には制限があります。
このような理由から、基本的には歯科医師の肉眼による治療がメインになります。
これに対し、自由診療の根管治療は、歯科用顕微鏡とも呼ばれるマイクロスコープ、CTなどの機材を使用します。
使用できる機材の種類が豊富であるため、より精密な治療を行うことが可能です。
手用の器具についても、ニッケルチタンファイルなどが使用できるため、必然的に精度は向上します。
ニッケルチタンファイルは、根管形成や拡大に用いる治療器具です。
従来のステンレス製のファイルと比べて高い弾力性があるため、その特性を利用して根管治療の迅速化が図れると期待されています。
使用材料
根管治療の保険診療と自由診療では、使用する材料にも違いがあります。
ここでいう材料には、主に治療に伴って使用する薬剤などが挙げられます。
保険診療の場合、機材や器具と同じように規格化された材料を使用しなければいけません。
一方、自由診療では柔軟で精密な材料や、生体親和性の高い薬剤などが使用できます。
感染防止策
根管治療では、感染防止策が治療の鍵を握ります。
治療により、根管内の細菌をしっかり除去できたとしても、治療時にまた細菌が入り込んでしまうと、再感染が起こる可能性があります。
保険診療の場合、感染防止策の実施が保険点数に含まれていないため、行われないことが多いです。
一方、自由診療の根管治療では、一般的にラバーダム防湿を使用します。
ラバーダム防湿は、治療する歯をゴムシートで隔離する処置です。
こちらを行うことにより、細菌の侵入を徹底的に防げます。
治療時間、回数
保険診療の根管治療は、1回の治療時間が比較的短いです。
そのため、1回の通院における拘束時間はそこまで長くありません。
しかし、数回に分けて治療を行うため、トータルの治療期間は長くなります。
一方、自由診療の根管治療では、1回の治療時間を長めに確保することが可能です。
こちらは、保険診療のように限られた範囲内で治療を行う必要がないからです。
よって、1回の治療における拘束時間は長くなりますが、その反面少ない回数で治療が完了することが多いです。
まとめ
根管治療をリーズナブルな価格で、なおかつスピーディーに終わらせたい方には、保険診療が向いています。
一方、費用がかかってでも失敗のリスクを減らし、しっかり重度の虫歯を治したいという方は、自由診療を選択すべきです。
またこれらの治療はすべての歯科クリニックで取り扱っているとは限らないため、興味がある方は各院へ直接確認してみましょう。