歯周病と食事は密接な関係にあり、食生活が乱れている方は歯周病を発症したり、悪化させたりするリスクが高まります。
また食生活が乱れている方は、精製された炭水化物を多く摂取しがちです。
今回は、歯周病のリスクを高めるとされている、精製された炭水化物に関することを解説します。
精製された炭水化物とは?
そもそも炭水化物は炭素と水素の化合物であり、タンパク質、脂質と並ぶエネルギー産生栄養素の一つです。
また精製された炭水化物とは、製造過程で食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が取り除かれた炭水化物をいいます。
これらは健康への影響が懸念されるものであり、歯周病についても発症もしくは悪化のリスクを高めるものとして知られています。
ちなみに、精製された炭水化物は私たちが普段食べている炭水化物のほとんどに含まれるため、多かれ少なかれ口にしているケースは多いです。
精製された炭水化物が歯周病のリスクを高める理由
精製された炭水化物を摂取することにより、歯周病のリスクが高まる理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・プラークを生成する
・酸を生成する
・歯周病菌が増殖する
・歯周組織が破壊される
各項目について詳しく説明します。
プラークを生成する
精製された炭水化物は、口内で分解されやすく、プラークの生成を促進します。
こちらは歯周病のリスクを高める理由の一つです。
歯周病は歯周病菌への感染によって発症する疾患ですが、プラークは無数の細菌が塊になったものです。
ここでいう細菌には、当然歯周病菌も含まれています。
そのため、プラークが多く形成されるほど、歯周病を発症するリスクは高くなります。
またプラークは時間が経つと歯石になりますが、歯石はさらに歯周病の症状を悪化させる上に、ブラッシングでは取り除けないため非常に厄介です。
酸を生成する
精製された炭水化物を摂取することにより、口内で酸が生成される機会も多くなります。
プラークに含まれる細菌は、糖分を分解して酸を生成し、歯の表面を溶かす原因となります。
前述の通り、精製された炭水化物によってプラークの量は多くなるため、それによって歯を溶かされるリスクも高まります。
また歯が溶けると象牙質が露出したり、歯周ポケットが深くなったりして、歯周病を発症する可能性が上昇します。
もちろん、同時に虫歯のリスクも高くなります。
歯周病菌が増殖する
精製された炭水化物の作用によって口内の酸性度が高まると、歯周病菌が活発に活動するようになります。
そのため、必然的に歯周病のリスクは上がります。
またすでに歯周病の症状が見られる方は、歯周病菌の増殖によって歯茎の炎症が悪化することも考えられます。
場合によっては出血したり、歯の動揺が始まったりするおそれもあります。
歯周組織が破壊される
精製された炭水化物が口内の酸性度を高め、歯周病菌による炎症を促進させると、いずれは歯を支える骨や組織が破壊されることにつながります。
こちらはいわゆる歯周病の末期症状であり、なかなか完治させることは難しいです。
またこのとき抜けてしまった歯については、二度と元に戻すことはできません。
インプラント治療などを受ければ機能はある程度回復できますが、インプラントはあくまで人工物であるため、総合的な機能については天然歯より劣ります。
精製された炭水化物の例
ここまで散々解説してきた精製された炭水化物ですが、こちらは具体的にどのようなものを指すのでしょうか?
身近なものでいうと、以下のものが該当します。
・白米
・小麦粉
・砂糖
日本人の主食である白米ですが、こちらは精製される過程で食物繊維やビタミン、ミネラルなどが失われます。
またパンやパスタ、うどんといった小麦粉が使用されたものも、食物繊維が少なく、歯周病のリスクが高いという特徴があります。
ちなみに、あまり知られていないかもしれませんが、実は砂糖も炭水化物の一種です。
精製された砂糖はほぼ糖質のみであり、栄養価が低いのが特徴です。
精製された炭水化物のその他のデメリット
歯周病のリスクが高い以外にも、精製された炭水化物にはいくつかのデメリットがあります。
精製されたものは消化吸収が早いため、食後の血糖値が急激に上昇しやすく、インスリンの過剰分泌を招きます。
また精製過程で栄養素が失われているため、摂取しても栄養価が低かったり、他の栄養素の吸収を妨げたりするおそれがあります。
さらに、血糖値の急上昇とインスリンの過剰分泌は、肥満や糖尿病、心血管疾患などのリスクを高めます。
ちなみに血糖値の乱高下は、イライラや集中力低下、疲労感などの原因になることもあります。
まとめ
炭水化物は脳や筋肉を動かすためのエネルギー源であり、集中力や思考力を保つためにも重要です。
そのため、ある程度は摂取しなければいけませんが、白米やパンなど精製された炭水化物ばかり食べるのは控えましょう。
精製された炭水化物を過剰摂取すると、歯周病のリスクを大幅に高めるだけでなく、全身の健康状態を損なうことにもつながります。