矯正治療を始めたい方の中には「今すぐにでも歯列をキレイにしたい」と考える方もいるでしょう。
しかし、矯正治療はいつ開始しても良いというわけではありません。
患者さんの状況によっては、延期した方が良いこともあります。
今回は、矯正治療を始めるのに相応しくないタイミングについて解説します。
矯正治療を始めるのに相応しくないタイミング5選
矯正治療を受けようと考えている方は、以下のタイミングで治療を開始するのを避けましょう。
・受験や就職活動を控えている
・妊娠や出産前
・口内状況が悪い
・経済的な不安がある
・引っ越しを控えている
各項目について詳しく説明します。
受験や就職活動を控えている
これから受験や就職活動を控えている方は、矯正治療を開始すべきではありません。
なぜなら、これらのストレスに矯正治療のストレスが重なることが予想されるからです。
受験の際は毎日長時間勉強したり、塾に通ったりするため、寝不足になるなど身体の疲れが出やすいです。
また就職活動も、毎回緊張した状態で面接を受けたり、対策を練ったりと心身ともに負担がかかります。
このような時期に矯正治療を開始してしまうと、口内の違和感や食事がしにくいストレスなどと重なり、さらに心身の負担は大きくなります。
そのため、受験生であれば合格した後、就活生であれば内定をもらった後に矯正治療を受けることをおすすめします。
ちなみに就職活動を控えている場合、矯正装置があることで面接のときに発音が悪くなるなどのデメリットにもつながります。
妊娠や出産前
妊娠や出産を控えている方も、矯正治療を受けるべきではないと言えます。
妊娠中は、ホルモンバランスの変化によって身体にさまざまな変化が出ます。
特に代表的な変化として挙げられるのが悪阻(つわり)であり、こちらは気持ち悪さや食欲不振などを引き起こします。
またこのような気持ち悪さがあるとき、矯正装置をつけているとより症状が悪化することが考えられます。
さらに、妊娠中は妊娠性歯肉炎といって、歯周病の症状が出るリスクも高まります。
そのため、矯正装置を装着するタイミングとしては相応しくありません。
ちなみに、矯正治療が完了していないにもかかわらず出産の時期を迎えた場合、矯正治療は中断することになります。
治療が中断すると、当初のスケジュール通り歯を動かせないため、再治療を受けなければいけない可能性もあります。
口内状況が悪い
口内状況が悪いときも、矯正治療を始めるのに相応しくないタイミングです。
ここでいう“口内状況が悪い”とは、虫歯や歯周病を患っていることを指しています。
虫歯がある場合、そのままの状態で矯正治療を開始することはできません。
まず患部を削り、歯を健康な状態にすることが優先されます。
こちらは歯周病にも言えることであり、先にプラ―クや歯石を除去し、歯茎の炎症などの症状を改善させなければいけません。
もし治療を受けないまま矯正治療を開始し、途中で虫歯や歯周病の症状が悪化すると、一度中断する必要があります。
こちらは前述した通り、矯正治療のスケジュールを狂わせる原因になります。
経済的な不安がある
矯正治療を始めるのに相応しくないタイミングとしては、経済的な不安があるときも挙げられます。
矯正治療は、基本的に保険が適用されない自由診療です。
費用は歯科クリニックによって異なりますが、矯正方法別の費用相場は存在します。
具体的にはワイヤーの場合で60~130万円程度、マウスピース矯正の場合でも10~100万円程度かかります。
経済的に不安がある場合、こちらの費用を問題なく支払うのは極めて難しいです。
歯科クリニックによっては、歯科専用のデンタルローンを利用できる可能性もありますが、ローンもいずれは返済が必要です。
そのため、一切返す当てがない状態で利用するべきではありません。
ちなみに後々所得控除が受けられる医療費控除についてですが、矯正治療は審美目的の治療であるため、対象外になっています。
引っ越しを控えている
近いうちに引っ越しを控えているという方も、矯正治療を開始するべきではありません。
なぜなら、矯正治療中に引っ越しをすると転院しなければいけない可能性があるからです。
すぐ近くへの引っ越しであれば良いですが、遠方に引っ越す場合、これまで通っていた歯科クリニックに通院することは困難になります。
またこの場合は転院を行いますが、転院後は初診料や検査料、治療費などが再度発生する可能性があります。
さらに改めて治療計画を立てる必要があるため、矯正期間が長引くことも考えられます。
まとめ
矯正治療を受けるタイミングを間違えると、心身や金銭面の負担が大きくなることが考えられます。
また当初の予定通り矯正治療を受けられず、早く歯列を治すどころか、かえって以前より歯並びが悪くなってしまうこともあります。
そのため、スムーズな矯正治療を阻害するような予定や体調不良などがある方は、焦らずに適切な時期まで待つことをおすすめします。