顎関節症は、年齢や性別に関係なく誰もが発症する可能性のある疾患です。
また顎関節症について、名前は聞いたことがあるものの、実際どのような疾患なのか詳しくは知らないという方もいるでしょう。
今回はそのような方のために、顎関節症の症状や原因、治療などに関することを解説します。
顎関節症の主な症状は?
顎関節症の主な3大症状は、口を開けたり閉めたりする時の痛み、口を開ける時の異音(カクカク、ジャリジャリなど)、口が大きく開かない(開口障害)です。
どの程度の口の開きで顎関節症と診断される?
正常な場合、口内に縦で指3本分(40~50mm)入りますが、顎関節症の方は指2本以下しか入らないケースが多く見られます。
顎関節症の痛みはどこに出る?
顎関節症の痛みは、顎関節(耳の前あたり)だけでなく、こめかみや頬の筋肉でも感じることがあります。
また顎周りの筋肉の緊張は、頭痛や肩こり、首の痛みなど、他の部位の症状を引き起こすことがあります。
顎の音が鳴るだけなら問題ない?
痛みがなく口も大きく開けられる場合は、必ずしも治療が必要とは限りません。
しかし、痛みや開口障害を伴う場合は歯科クリニックの受診が必要です。
顎関節症の一番重い症状は?
顎関節症では、口が開かない開口障害がもっとも重い症状とされています。
こちらを放置すると症状が進行し、手術が必要になる場合もあります。
顎関節症による会話への影響は?
顎関節症を発症すると、会話時に顎を大きく開けられなかったり、筋肉の緊張で舌が上手く動かせなかったりして、話しにくくなることがあります。
顎関節症の原因は?
顎関節症は、複数の要因が絡み合って発症することが多いです。
よくある原因としては歯ぎしりや食いしばり、精神的ストレス、噛み合わせの問題、悪い生活習慣などが挙げられます。
ここでいう悪い生活習慣には、猫背や頬杖、うつ伏せ寝などが該当します。
歯ぎしりや食いしばりはどうすれば治る?
歯ぎしりや食いしばりを根本的に止めるのは難しいですが、歯科クリニックでスプリントを作成し、睡眠時などに装着することで、顎への負担を軽減できます。
スプリントは、マウスピース型の装置です。
TCHとは?
TCHとは、歯列接触癖とも呼ばれるものです。
無意識に上下の歯を接触させてしまう癖のことで、多くの顎関節症患者の方に見られます。
こちらの癖を直すことで、顎関節症の症状が改善するケースが多くあります。
ストレスと顎関節症は関係ある?
精神的なストレスは無意識の食いしばりや筋肉の緊張を引き起こし、顎関節症の大きな原因の一つとなります。
噛み合わせを治せば顎関節症も治る?
かつては噛み合わせが顎関節症の主な原因と考えられていましたが、現在では歯を削るなどの不可逆的な治療の効果は疑問視されています。
そのため、まずは保存的治療が優先されます。
顎関節症予防のためにできることは?
悪い姿勢を改善する、ストレスを管理する、硬い食べ物を控える、セルフケアを行うといったことが顎関節症の予防につながります。
顎関節症の検査では何をする?
歯科クリニックにおける顎関節症の検査では、問診や触診による痛みの確認、口の開閉度の測定やレントゲンやCTによる画像診断などが行われます。
顎関節症の治療法にはどのようなものがある?
顎関節症を治すにあたっての第一選択は、保存的で可逆的な治療法です。
具体的には患者教育(セルフケア)、理学療法、スプリント療法、薬物療法などがあります。
ボトックス注射は効果がある?
ボトックス注射は、食いしばりが強い場合の咀嚼筋痛障害の改善に効果がある場合があります。
また効果については、数ヶ月持続することが多いです。
顎関節症の治療期間はどれくらい?
症状や個人差がありますが、顎関節症は適切な基本治療により2週間~1ヶ月程度で症状が改善することが期待されます。
顎関節症治療は保険が適用される?
検査やスプリントの作製など、顎関節症の治療の多くは保険が適用されます。
ただし低出力レーザー照射など、一部保険適用外のものもあります。
顎が痛いとき、自分でできる対処法は?
顎周りのマッサージやストレッチ、蒸しタオルなどで温める温罨法、硬い食べ物を避けるなどが有効です。
顎関節症は自然治癒する?
顎関節症は、軽症であれば時間経過とともに改善、治癒していく疾患であるとされています。
しかし症状がある場合は放置せず、歯科クリニックで相談するのが最善です。
顎関節症は再発する?
顎関節症は生活習慣やストレスが関与しているため、原因となる癖が続くと再発する可能性があります。
そのため、セルフケアの継続が重要です。
まとめ
顎関節症は、一度発症するとなかなか簡単には完治しません。
そういう意味では、虫歯や歯周病などと同じような疾患と言えます。
また、一度完治しても再発する可能性があるという点も、虫歯などの疾患と似ている点です。
日々適切なセルフケアを行い、可能な限り顎関節症を発症させないように努めましょう。
もちろん、少しでも顎の違和感がある場合は歯科クリニックに相談すべきです。
