歯科クリニックで行う歯の治療には、歯を削る治療や形状を調整する治療の他、抜歯も挙げられます。
抜歯は簡単に選択される方法ではありませんが、場合によっては抜歯をせざるを得ないこともあります。
では、抜歯の際には麻酔が施されるのでしょうか?
また、麻酔なしでの抜歯にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
抜歯のときには麻酔が施される?
歯科クリニックで抜歯を行う場合、麻酔が適用されるケースとそうでないケースがあります。
以下の場合は、基本的に麻酔を行います。
・炎症が強いとき
・痛みが強いとき
・患者さんの不安が強いとき
歯や歯茎の炎症がひどい場合、必ず麻酔をした上で歯を抜きます。
また虫歯が神経に到達している場合や、親知らずを抜歯する場合などは、痛みが強いことから麻酔が施されます。
さらにそこまでひどい症状ではなかったとしても、患者さんが抜歯に対する強い不安を抱いている場合、麻酔を受けてリラックスした状態を保つことができます。
一方、抜歯の際に麻酔を行わないケースとしては、主に以下のケースが挙げられます。
・乳歯を抜く場合
・神経が死滅している場合
子どもの乳歯を抜く場合は、永久歯よりもやわらかいことから、麻酔をせずに抜歯することがあります。
特にグラグラで今にも抜け落ちそうな乳歯に関しては、麻酔なしで抜歯できる可能性が高いです。
ちなみに虫歯が重度にまで進行し、歯の神経が死んでしまっている場合、患部を触っても痛みを感じないため、麻酔を行わないことがあります。
麻酔なしで抜歯をすることのデメリット
麻酔の必要がある場合は、歯科医師の判断によって適切な麻酔処理が行われます。
しかし必要性があるにもかかわらず、「針を刺すのが怖い」などの理由で患者さんが断ってしまうと、以下のようなデメリットにつながります。
・強い痛みや恐怖
・治療の安全性の低下
・治療時間の長期化
・治療後の負担増大
各デメリットについて詳しく説明します。
強い痛みや恐怖
麻酔なしで抜歯を行う場合、患者さんは当然強い痛みにおそわれることになります。
抜歯は、歯だけでなく骨などの組織も操作する施術です。
そのため、どれだけ痛みに強い方であっても、神経が死滅していない限り一切痛みを感じないということはあり得ません。
また抜歯直前においては、これから麻酔なしで歯を抜かれるということへの強い恐怖心を抱くこともあります。
こちらは治療に影響が出るだけでなく、当然歯科クリニックに対してトラウマを抱えてしまう原因にもなります。
治療の安全性の低下
抜歯を麻酔なしで行うことにより、治療の安全性は著しく低下します。
例えば、斜めに生えていることで、他の歯や歯茎に悪影響を及ぼしている親知らずを抜歯するとしましょう。
このような親知らずは、通常のまっすぐ生えているものと比べて抜歯の難易度が高いです。
そのため、歴戦の歯科医師でも慎重に治療を進めていかなければいけません。
しかし麻酔を施していない場合、前述の通り患者さんは強い恐怖心や不安を抱えることになります。
もちろん痛みも強いため、ついつい治療中に動いてしまい、歯科医師は正確な処置を行うことが難しくなります。
その結果、抜歯中の親知らずが破折してしまったり、他の歯周組織に傷をつけてしまったりすることも考えられます。
治療時間の長期化
治療時間の長期化も、麻酔なしで抜歯を行うことのデメリットです。
先ほども触れたように、麻酔なしの抜歯を行うにあたって、患者さんは相当な不安と恐怖を抱えることになります。
また治療中に痛みがある場合、手を挙げれば治療を中断してもらうことができますが、麻酔なしの抜歯は常に激痛が走ります。
そのため、痛みがあるたびに手を挙げていると、なかなか治療が進みません。
もちろんこのような状況が続くと、1日にできる治療の内容も限られてしまい、1本抜歯するだけで何日も費やしてしまうことが考えられます。
こちらは患者さんの通院における負担を大きくするだけでなく、施術を行う側の歯科医師にとってもデメリットです。
治療後の負担増大
麻酔を行わずに抜歯した場合、患者さんの治療後における患部の負担が増大します。
なぜなら麻酔をしなかった場合、麻酔をした場合に比べて抜歯後の痛みや腫れが大きくなる可能性があるからです。
親知らずを抜いたときなどは、頬が大きく腫れてしまうイメージを持っている方も多いかと思います。
このようなイメージは決して間違いではなく、場合によってはかなり治療した側の頬が腫れますが、通常は数日程度で引いてきます。
しかし麻酔なしで抜歯をした場合、いつまでもひどい痛みや腫れが残ることがあります。
まとめ
歯科クリニックで抜歯を行う以上、歯科クリニック側の事情で麻酔を施さないといったことは基本的にはありません。
必要なときはしっかり麻酔処理を行い、患者さんの不安や負担を最小限に和らげます。
しかし、麻酔なしで抜歯が行われるケースもゼロではありません。
もしどうしても麻酔を打ってもらいたいのであれば、事前に痛みや注射が苦手であることを伝え、念のために麻酔をしてもらいましょう。