歯科クリニックで虫歯治療を受けるときは、事前にブラッシングを行い、キレイな口内にしてから臨まなければいけません。
ではもしブラッシングをせず、食事をした後の口内のままで治療を受けると、どうなってしまうのでしょうか?
今回はこちらの内容について解説します。
ブラッシングせずに虫歯治療を受けたらどうなる?
事前にブラッシングをせずに虫歯治療を受けようとすると、以下のようなデメリットが生じます。
・診断の正確性とスピードが低下する
・治療自体の質と成功率に影響する
・院内感染のリスクと衛生環境の悪化
・スタッフとの信頼関係の悪化
各項目について詳しく説明します。
診断の正確性とスピードが低下する
ブラッシングをせず、歯の表面や歯間に食べかすやプラークが大量に付着した状態で診察室に入ると、歯科医師はまず汚れを取り除くことから始めなければなりません。
虫歯は初期段階では非常に小さく、あるいは歯の溝の奥深くや隣り合う歯の隙間に隠れていることが多いものです。
これらがプラークに覆われていると、肉眼やマイクロスコープでの確認、さらにはレントゲン撮影においても鮮明な画像が得られず、正確な病状の把握を妨げる原因となります。
特に定期検診や初めての診察の場合、汚れのせいで隠れた虫歯を見逃してしまったり、本来は削らなくても良い程度の汚れを虫歯と誤認したりするリスクもゼロではありません。
診察の時間は限られていて、汚れの除去に多くの時間を費やすと、本来時間をかけるべき今後の治療計画の説明や精密な処置に割く時間が削られてしまいます。
治療自体の質と成功率に影響する
詰め物や被せ物をする際、あるいは神経の治療を行う際、口内が不衛生であることは致命的な欠陥となります。
例えば虫歯を削った後に詰め物を接着する場合、歯に汚れや水分、細菌が残っていると接着力が大幅に低下し、治療後すぐに外れたり、二次虫歯が発生したりする原因になります。
清潔な環境で治療を行うことは、歯科治療の成功率を左右する極めて重要な要素です。
また麻酔の注射をする際も、歯茎の表面が細菌だらけの状態では、針を刺した部位から細菌が組織内に押し込まれてしまい、治療後に痛みや腫れが出やすくなることも考えられます。
歯科クリニック側でも治療前には洗浄や消毒を行いますが、患者さんが事前にブラッシングをして物理的に汚れを落としておくことで、化学的な消毒の効果もより高まります。
院内感染のリスクと衛生環境の悪化
歯科治療中、歯を削る機械からは水が噴射され、それに伴って目に見えないほどの細かな水しぶきが周囲に飛び散ります。
この時、口の中に食べカスや古いプラークが溜まっていると、それらに含まれる膨大な数の細菌やウイルスが飛沫と共に診療室内に拡散することになります。
これは治療にあたる歯科医師や歯科衛生士だけでなく、同じ時間帯に診療を受けている他の患者さんへの感染症リスクを高めることにもつながります。
現代の歯科クリニックでは徹底した滅菌・消毒が行われています。
しかし大元の汚染源である患者さんの口内が不衛生であれば、その分だけ除菌の負担が増え、完全にクリーンな状態を保つ難易度が上がります。
特にインプラント手術や抜歯、歯周病の外科手術など、出血を伴う治療を受ける場合には、口内の細菌数を最小限にしておくことが術後の経過を良好にするために不可欠です。
自分自身の安全を守るため、そして周囲の衛生環境を保つためにも、最低限の口腔清掃は必須のマナーと言えます。
スタッフとの信頼関係の悪化
歯科医師や歯科衛生士はプロフェッショナルですが、同時に患者さんと同じく感情を持つ人間でもあります。
患者さんの口の中に、明らかに数時間前や数日前の食べカスが残っていて、強い口臭を放っている状態では、技術の高いスタッフであっても心理的な抵抗を感じざるを得ません。
身だしなみとしてブラッシングをしてくることは、これから自分の体を預け、治療を依頼する相手に対する最低限の敬意の表れでもあります。
ブラッシングを怠ることは、スタッフに対して「この患者さんは自分の健康に関心が低く、指導をしても守ってくれないかもしれない」という印象を与えてしまう可能性があります。
逆に、しっかりと磨かれた状態で来院する患者さんは、予防意識が高いと見なされ、より詳細なセルフケアのアドバイスや熱心なサポートを受けやすくなる傾向にあります。
スムーズなコミュニケーションと良好な信頼関係を築くことは、結果としてより丁寧で質の高い治療を引き出すことにつながります。
まとめ
ブラッシングをせずに虫歯治療を受けることは、決して不可能なわけではありません。
しかし、口内が汚れたままだとスムーズに治療に移れませんし、治療の成功率低下や院内感染といった良くない影響を及ぼす可能性もあります。
そして何より、治療を行ってくれる歯科医師や歯科衛生士に対して非常に失礼な行為にあたるため、時間がなくても最低限のブラッシングは必要だと言えます。
