虫歯が重症化すると、虫歯菌に侵食された部分が大きくなり、やがて神経が壊死して痛みを感じなくなります。
こうなると、抜歯を選択せざるを得ないこともあります。
また虫歯の悪化に伴う厄介な症状としては、口臭も挙げられます。
今回は、なぜ虫歯が悪化すると口臭が強くなるのかについて解説します。
虫歯が悪化すると口臭が強くなる理由4選
虫歯が悪化すると口臭が強くなる理由は以下の通りです。
・虫歯の穴に食べカスが詰まり発酵するから
・歯の神経が壊死して腐敗するから
・プラークや歯石が周囲に付着しやすくなるから
・進行した虫歯が原因で歯周病を併発するから
各項目について詳しく説明します。
虫歯の穴に食べカスが詰まり発酵するから
虫歯が進行して歯の表面のエナメル質やその下の象牙質が溶かされると、歯に深い穴が空きます。
この穴は、毎日のブラッシングやうがいだけでは非常にかき出しにくい構造をしています。
そのため、食事のたびに落としきれなかった食べカスが穴の奥深くへと蓄積されていきます。
口腔内は36度前後の温度があり、常に唾液で潤っているため、細菌が繁殖するには絶好の温床です。
穴に詰まった食べカスを、虫歯菌をはじめとする口腔内の嫌気性細菌が分解・発酵させることで、強い悪臭を放つようになります。
さらに、虫歯の穴の中は酸素が行き届きにくい嫌気的な環境です。
酸素を嫌う悪質で強力な嫌気性細菌は、このような環境で爆発的に増殖します。
これらの細菌がタンパク質を分解する過程で、卵が腐ったような臭いの硫化水素や、野菜が腐ったような臭いのメチルメルカプタンといった揮発性硫黄化合物を大量に産生します。
これが、虫歯の穴から発生する強い口臭の直接的な原因になります。
初期の虫歯では臭わなくても、穴が大きく深くなるにつれて汚れの蓄積量が増え、口臭は反比例するようにきつくなっていきます。
歯の神経が壊死して腐敗するから
虫歯がさらに悪化し、歯の最深部にある神経や血管が通る歯髄という組織にまで達すると、激しい痛みが生じます。
しかしその痛みを放置し続けると、やがて神経の細胞が完全に死滅し、一時的に痛みが消える段階を迎えます。
この神経が死んだ状態こそが、もっとも強烈な口臭を引き起こす原因の一つです。
死んでしまった歯の神経や血管といった組織は、生きた組織ではなく、単なる有機物の塊として歯の中に残されることになります。
ここに虫歯菌や周囲の雑菌が侵入すると、組織の激しい腐敗が始まります。
生ゴミや肉が腐ったときと同じ現象が密閉された歯の中で起こるため、その臭いは極めて強烈です。
この腐敗臭は、歯に空いた穴や歯茎の隙間から漏れ出し、呼吸や会話のたびに周囲に広がります。
また神経が死んだ後に根の先端に膿の袋ができる根尖性歯周炎へ移行すると、歯茎に開いた穴から膿が排出されるようになります。
この膿自体も白血球の死骸や細菌の塊であるため、独特の生臭い、あるいは酸っぱいような不快な臭いを放ち、口臭を一段と悪化させる悪循環に陥ります。
プラークや歯石が周囲に付着しやすくなるから
虫歯が進行した歯の表面は、本来の滑らかな状態とは異なり、ボロボロに溶けてザラザラとした粗造な状態になっています。
このような段差や凹凸が多い場所には、細菌の塊であるプラーク」が非常に付着しやすくなります。
プラークはわずか1mgの中に1億個以上の細菌が存在していると言われていて、これ自体が強いニオイの発生源です。
また虫歯が悪化すると、冷たいものがしみたり、噛むと激痛が走ったりするようになります。
すると無意識のうちに「痛む歯で虫歯に触れたくない」「歯ブラシを当てると痛いから磨きたくない」という心理が働き、その周囲のブラッシングが極端に不十分になります。
結果として虫歯のある歯だけでなく、その周辺の健康な歯や歯茎の境目にまで大量のプラークや、それが硬化した歯石が蓄積していくことになります。
ブラッシングが行き届かないエリアで増殖した細菌は、唾液中の成分や食べカスを巻き込みながら、さらに強固なバイオフィルムを形成します。
ここから放出される揮発性硫黄化合物が、口内全体のベースとなる口臭レベルを著しく押し上げます。
つまり1本の虫歯の悪化が、口内全体の衛生環境をドミノ倒しのように悪化させ、結果として広範囲から口臭を発生させる原因を作るということです。
進行した虫歯が原因で歯周病を併発するから
虫歯の悪化と歯周病の進行は、切っても切れない密接な関係にあります。
虫歯が進行して歯の頭の部分がほとんど崩壊し、根っこだけが残った状態になると、歯と歯茎の境界線が乱れ、正しいブラッシングが不可能な状態になります。
これにより、歯と歯茎の隙間である歯周ポケットに大量の細菌が流れ込み、歯周病が急速に悪化します。
また虫歯の痛みから特定の場所でしか物を噛まなくなると、使われない側の歯や歯茎は唾液による自浄作用が低下します。
唾液には細菌を洗い流し、抗菌する重要な役割がありますが、噛む刺激が減ると唾液の分泌量も減少し、歯周病菌が爆発的に繁殖しやすい環境が整ってしまいます。
歯周病菌の多くは、酸素を嫌う嫌気性細菌です。
これらが歯周ポケットの奥深くで繁殖すると、歯茎のコラーゲン繊維やタンパク質を分解し、生魚が腐ったニオイと言われるジメチルサルファイドなどのガスを発生させます。
さらに、進行した歯周病は歯茎からの出血や排膿を伴います。
血液に含まれるヘモグロビンやタンパク質もまた、細菌にとって絶好の栄養源となり、分解されることで血生臭い独特の口臭へと変化します。
虫歯の放置は、歯周病というもう一つの巨大な口臭の原因を呼び寄せる引き金になります。
まとめ
口臭は痛みや体調不良などを伴うものではありませんが、ある意味虫歯や歯周病よりも厄介なものと言えます。
なぜなら、本人が気付かないうちに周囲の方に悪影響を与える可能性があるからです。
そのため、周りに迷惑をかけないためにも、定期的に歯科クリニックに足を運び、虫歯を発症していないかどうかチェックしてもらう習慣づけが大切です。
